企業の広告・Web関連の業務に携わっている人の中で最近話題になっている広告"ネイティブアド"。聞いたことはあるし、なんとなくわかるけれど、似たような言葉が多くて...、と少し混乱気味の人もいらっしゃるのではないでしょうか。
このネイティブアド、その定義が曖昧なまま注目され広がっていましたが、3月19日、一般社団法人インターネット広告推進協議会(JIAA)が「ネイティブ広告に関するガイドライン」を策定!その内容が具体的に公表されました。
*ネイティブ広告の定義と用語解説(JIAA ネイティブアド研究会)
http://www.jiaa.org/download/150318_nativead_words.pdf
JIAAとは、インターネット広告、モバイル広告などにかかわる企業が集まり、ガイドライン策定、普及啓発などを行い、インターネット広告市場の健全な発展、社会的信頼の向上のために活動している一般社団法人のこと。
今回、ネイティブアドに関する正しい理解の促進をめざし指針が公表されましたが、その内容を短時間で把握していただくために、具体的な種類や特徴、事例について、わかりやすくご紹介します。
【ネイティブアドのガイドライン】
ネット閲覧時に表示されるバナー広告やリマーケティング広告。企業広報担当の皆さんは、ユーザーに購入を促すために使用しているわけですが、何度も表示されるため、ユーザーがストレスを受けてしまい、逆効果となっているケースがあるようです。
それに対し、できるだけユーザーにストレスを与えないように表示されるのが、ネイティブアド。「ネイティブ=自然」ということばから連想されるように、これは、「メディアの中に広告を自然な形で配置し、ユーザーにストレスを与えることなく表示する広告」のことです。
具体的には、ユーザーが見ているメディアにおいて、記事と広告が自然になじむようにデザインされた広告を指します。つまり、あくまでも広告をどのように見せるか、というフォーマットのデザインに関する定義のことなのです。
これは、「広告の表示位置をどうすれば、自然な表現になるか」という視点から考えられていますので、これまでのバナー広告と比較すると、「より自然に表現されている」ということがわかるでしょう。
そこで、JIAAも参考にしている、米ネット広告業界団体(IAB)が定めたネイティブアドに関する指針をもとに、まずは、ネイティブ広告の6つの評価軸について、ご紹介しましょう。
◆6つの評価軸
1.形式(FORM)
広告が、設置されたページのデザインに適応しているかどうかがポイント。
メディアのコンテンツと広告のコンテンツ、どちらも同じ自然なレイアウトデザインになっていることが必要です。
2.機能(FUNCTION)
広告が、そのページにある他の要素と同じように機能しているか。
そのメディアと同じ機能で(動画サイトなら動画で、記事サイトなら記事で)提供するようにします。
3.統合(INTEGRATION)
広告の動きが、そのページのコンテンツとフィットしているか。
たとえば、リンク先が同一サイト内なのか、サイト外なのかなど。
4. バイイングとターゲティング(BUYING&TARGETING)
広告が掲載された特定のページ・サイトが選択できるか。
アドネットワークを介した配信かどうか。
5. 計測指標(MEASUREMENT)
ブランディング、もしくはダイレクトレスポンスのどちらであるか。
6. 広告の明示性(DISCLOSURE)
本来の記事とは異なる"広告"であることを、見る側にきちんと明示する必要があります。ただし、いかにも広告!というような直接的な内容ではなく、売り込み色が薄いケースが多くみられます。
<参考>
米ネット広告業界団体(IAB)
「THE NATIVE ADVERTISEMENT PLAYBOOK」
http://www.iab.net/media/file/IAB-Native-Advertising-Playbook2.pdf
IAB ネイティブアド・プレイブック 翻訳:デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社
http://www.dac.co.jp/press/pdf/20140619_iab_nativead.pdf#search='IAB+%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%A2%E3%83%89%E5%9E%8B'
【6つの種類と事例紹介】
IABでは、6つの評価軸の他にも、大きく6つのタイプを定めています。先述した6つの評価軸をふまえてご紹介しましょう。事例も掲載していますので、ネイティブ広告が、どのくらい自然なのか、ご理解いただけると思います。
◆6つのタイプ
1.インフィード型
主要コンテンツ(記事など)が掲載されている枠の中に設置されるタイプ。
記事と広告が同じように並んで表示されます。
<twitter>
*出典 i-mobileオフィシャルブログ
http://blog.i-mobile.co.jp/
2.ペイドサーチ型
検索連動型広告であるリスティング広告が表示される枠。
検索結果が表示された画面の上、もしくは右側に表示されます。
<Yahoo!>
3.レコメンドウィジェット型
おすすめとして表示される枠で、並列で表示されます。関連情報という形で掲載される枠でもあります。おもに、下部に表示され、配信面の指定ができないのが特徴。
<ルーミー>
4.プロモートリスティング型
食べログのPRという枠、Amazonのスポンサーのリンク枠など。リスティング広告と同様の仕組みで、あるキーワードで絞り込んだ結果に関連した広告を表示する、商品リスト広告。
<アマゾン>
<食べログ>
5.ネイティブ要素を持つインアド型
表示されるコンテンツの内容と親和性が高い広告を表示する枠で、特定の広告枠の中に表示されます。明確な広告枠に表示されるため、デザインのフィット感は低く、実際は、あまり使用されていないようです。
*出典 IAB ネイティブアド・プレイブック
http://www.dac.co.jp/press/pdf/20140619_iab_nativead.pdf#search='IAB+%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%A2%E3%83%89%E5%9E%8B'
6.カスタム型
1~5までのいずれにもあてはまらないタイプ。それぞれのメディア独特のプラットフォームに適応させた表示。Tumber、Flipboardなどの広告、LINEスポンサードスタンプなどがこれにあたります。
*出典 ラインスタンプ無料ゲットまとめ
http://stamp-line.net/creators-stamp/
なお、ネイティブアドは、下記の企業などが提供しています。
*Gunosy(グノシー)>広告掲載
http://gunosy.co.jp/ad/
*Antenna(アンテナ)広告出稿について> 広告の特長
https://antenna.jp/web/advertise/
【大切なのは、定義よりも"コンテンツの内容と届ける相手"】
ネイティブアドの定義は、あくまでもデザイン的な部分に限定されていますが、今回の公表においては、「広告効果だけでなく、コンテンツとしての効果指標を新たに検討するべき」などの課題についてもふれています。
つまり、ネイティブアドは、もっと奥深い意味を含んだものであり、多くの期待を実現する可能性を秘めているといえます。読まれるための広告、読んでもらえる広告を自然な形で掲載することで、ユーザーにアクションを起こさせるのが、ネイティブアドの目的。「ただのフレーム」だけの問題ではない、と認識したほうがよいでしょう。
そこで、ユーザーにストレスを与えずに効果的な結果を出ために、次の5つのポイントを組み合わせて考えることをおすすめします。
*表示する内容は、ユーザーの立場から見たコンテンツにする
*読みたいと思えるおもしろいコンテンツにする
*メディアによって、広告を届ける相手を誰にするのか、を考える
*信頼度の高いメディアを使用する
*ネイティブアドの基本、他のコンテンツと同様のフォーマットにする
これらのどれがおろそかになったとしても、ネイティブアドの効果は発揮できません。貴社の持つブランド力を最大限に表現し、だれにその広告を見てもらうのかを厳選。その上で、その見せ方であるネイティブアドを効果的に組み合わせることが、本当のマーケティングパフォーマンスといえそうです。今後、広告の中でも、より高い効果を発揮できるネイティブアド。貴社の広告戦略のひとつとして検討されてみてはいかがでしょうか。
*参考
JIAA > RELEASE > ネイティブ広告に関するガイドラインを策定
http://www.jiaa.org/release/release_nativead_150318.html
【ガイドラインの公表】
「インターネット広告掲載基準ガイドライン」および「ネイティブ広告に関する推奨規定」
http://www.jiaa.org/guideline.html
ネイティブ広告の定義と用語解説
http://www.jiaa.org/native_ad/index.html