
休日は博物館に出かけてみてはいかがでしょうか?
博物館の生き残り戦争
博物館の数は増加傾向にあり、
反対に1館あたりの来場者数は減少傾向にあります。
参照:博物館数、入館者数、学芸員数の推移(文部科学省)
ビジネスをやっている会社やモノを売っている店舗と同様に、
博物館も生き残るために在り方を随時見直していかなければなりません。
私たちが博物館へ足を運ぶ理由とは、一体どのようなものでしょうか?
何かを学びたいから、でしょうか?
研究成果を見たいからでしょうか?
そういうキレイ事や建前よりも、単純に
「展示が面白そう」「動物に癒されたい」「子供が喜ぶ」
といった理由が先行していることはないでしょうか。
今や様々な情報は、インターネットを使って自ら探しに行く時代。
そして、入場料収入は博物館にとっての命綱です。
何か面白そうなものないかなぁ...とPCやスマートフォンを触っている人々に
博物館はどのようなアプローチをし、来場につなげているのでしょうか?
"博物館"とは
そもそも博物館というものは、本来「研究」を目的とした施設。
博物館法では、以下のとおり定義されています。
>「博物館」とは、
>・歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、保管(育成を含む)し、展示して教育的配慮の下に一般公衆の利用に供し、
>・その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い、
>・あわせてこれらの資料に関する調査研究をすることを目的とする機関(公民館及び図書館を除く。)のうち、
>・地方公共団体、民法(明治29年法律第89号)第34条の法人、宗教法人又は政令で定めるその他の法人(独立行政法人を除く。)が設置するもので登録を受けたものをいう。
参照:博物館法における博物館法の定義について(文部科学省)
"資料を収集し、保管(育成を含む)し、展示"と記されている一方で、
国立新美術館のような常設展を持たない博物館も近年存在しています。
同じく東京・六本木エリアの森美術館も、4月25日のリニューアルオープンまでは常設展を持たない美術館として知られていました。
博物館法を考えると首をかしげてしまうような形態ですが、
実際に常設展があろうとなかろうと、
目玉はいつも大きく打ち出した期間限定の企画展。
(常設展も一緒に見られるのに、企画展だけ見て退場してしまった経験はありませんか?)
それでは、博物館はインターネットで企画展の宣伝をどのように行っているのでしょうか。
本来、"博物館"には動物園や水族館も含まれますが、今回はスペースの都合上
美術館と狭義の博物館に絞って事例を紹介いたします。
① 博物館情報サイトに情報掲載/チケットプレゼント
博物館情報サイトでは、チケットプレゼントキャンペーンが随時開催されていました。
・ミュージアムカフェ(http://www.museum-cafe.com/)
アプリはこちら→ App Store ・ Google Play
トップの広告やバナー広告、アプリ内広告、
タイアップ記事等を掲載しています。
特にトップの広告枠はタイアップ記事とセットで販売されており、
動員を強く意識していることが見受けられます。
展覧会情報を発信してくれるメールマガジンや
一括応募のできるチケットプレゼント企画等がユーザーに人気のサイトです。
後述の『tixee』と連動し、スマートフォンでのチケット購入も促しています。
・Internet
Museum(http://www.museum.or.jp/)
ミュージアムカフェよりもデータベース要素の強いポータルサイトです。
取材レポートはミュージアムカフェの各コンテンツよりも内容が濃い印象。
画像左中央「登録中のイベント・展覧会」や、
画像左下「急いで!もうすぐ終了」の枠等が広告として販売されています。
・CJキューブ(http://www.cj3.jp/)
アートライフ共有SNSのCJキューブでは、タイアップ企画や各種広告枠が販売されていました。
「アートライフ」はユーザー同士で作品にブラボーシール(シール状のいいね!のようなもの)を付け合うことができます。
「マガジン」はユーザーや編集部がレポートを共有しあうスペース。
「カフェ」は掲示板のようなスペースです。
SNSとして活気のあるようにはなかなか見えませんが、
展覧会ページへのリンクを貼ったメールマガジンの配信や
チケットプレゼントのキャンペーンも行っており、
ユーザーは定期的にサイトを訪れます(私も以前チケットが当たりました!)。
②スマホアプリからチケット購入へつなげる
・チラシミュージアム
App Store ・ Google
Play
App Storeで「博物館」「美術館」と検索すると一番上に現れるアプリ。
その名のとおりチラシ一覧から気になる展覧会をチェックできます。
e+と連動してチケットをアプリから購入できる展覧会や
入場料割引のクーポンを配布している展覧会があり、
ユーザーはそれらに絞って展覧会を検索することが可能です。
大きな国立の博物館から小さなギャラリーのイベントまでを網羅しており、
「博物館」の教育的要素よりも娯楽的要素を求めているライト層の
『面白いものが見たい!』『すぐチケットがほしい!』『安く見たい!』
と言った気持ちにアプローチしているスマートフォンアプリです。
「ミュージアム」は利用者にアプリのイメージをしてもらうための印でしかなさそうです。
アプリはこちら→ App Store ・ Google Play
・tixee
App Store ・ Google
Play
スマートフォンでチケットが購入できるアプリ。
先述のミュージアムカフェとも連携しています。

チケット発券が必要ないので、当日チケット売り場に並んだり、
店舗やコンビニに寄ったりといった手間がかかりません。
画像右の展覧会では、tixeeでチケットを購入すると会期中も前売り価格が適用されるそうです。
まだまだ導入数は少ないですが、ミュージアムカフェとの連携でどこまで伸びるかが楽しみなサービスです。
③コンテンツとしてアプリを配信し、ファンを増やす
独自にアプリを提供し、所蔵品の一部を見せたりすることで
博物館の来場につなげているケースもあります。
例えば、東京国立博物館は独自のアプリ「トーハクなび」を提供し、
位置情報と紐付けて館内の案内等を行っています。
トーハクなびのアプリ詳細について
→東京国立博物館「『トーハクなび』について」
そのほかまとめもありましたので、こちらをご覧ください。
まとめ
手法としては、以下のとおり。
・博物館情報サイトに広告を掲載
・チケットプレゼントキャンペーンの実施
・スマートフォンアプリでチケット購入を促す
・スマートフォンアプリでクーポンの提供
・独自のアプリでファンを増やす
...いざ書いてみると、今までアナログで行ってきた広報活動が
デジタルの世界にやってきただけのようにも見えます。
博物館は老若男女が訪れる場所ですから、
デジタル・ネイティブ世代にも合わせたアプローチ方法を
今から考えていきたいですね。
東